7月1日から厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会で、2014年度の地域別最低賃金について話し合いが行われている。
7月末には最低賃金の引き上げ額の目安を出し、さらに地方審議会で改めて協議を行ったのち最終的な金額が決定する。新たな最低賃金の適用は10月ごろから
を予定している。
最低賃金の基準値は時間給で給与が決まる非正規雇用者にとって、収入の増減に直結する問題だ。総務省統計局の調べによると13年の正規雇用者は
3,294万人で12年度よりも46万人減少しており、一方非正規雇用者は1,906万人で12年度より93万人も増加している。雇用者のうち36%以上
が非正規雇用であるという現状の中、最低賃金が生活保護の受給水準を下回る逆転現象が起きていることが問題とされてきた。
いくら働いても貧困から抜け出せないワーキングプアの存在に社会が注意を向け、最低賃金の見直しが積極的に図られるようになったのは08年。同年
7月には改正最低賃金法が施行され、最低賃金を生活保護費の水準を下回らないよう配慮することを定めた。この法改正を受けて最低賃金の引き上げが毎年のよ
うに行われている。08年の最低賃金の全国平均は703円、09年では713円、10年は730円、11年は737円、12年は749円、13年は764
円となっている。
最低賃金が生活保護を下回る県は13年度で北海道、青森、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島の11都道府県であることが指
摘されており、最低賃金の値上げによる対応で問題解消に取り組んできた。しかし13年度の最低賃金引き上げ後も、北海道、宮城、東京、兵庫、広島は生活保
護の受給水準を上回ることができていない。今回の審議会について田村憲久厚労相は記者会見を開き、経済の状況が良くなってきていることに触れ、最低賃金に
景気上昇を反映させられるよう努力したいという旨を述べた。前年度の15円という増額幅を上回る最低賃金見直しに熱い期待が寄せられている。(編集担当:
久保田雄城)
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